競馬 想い出の歴史

競馬といえば、武豊

第153回天皇賞(春)Ⅰ 時代が変った。

時代が変った。そう思った。
春天の出馬表を見た。一週間前の日曜日の夜だったため、未だ枠も決まっていない。特別登録馬のアイウエオ順の馬柱を見て、私は少しの間茫然としていた。そして、時の流れに何とも言い様のない淋しさを感じていた。
 
   キタサンブラック        父ブラックタイド     母シュガーハート   母父サクラバクシンオー


あのサクラバクシンオーである。
言わずと知れた日本競馬史上最高のスプリンターのあのサクラバクシンオーである。母父サクラバクシンオー。その彼が春天である。
「菊を取っただろ!」
そう言われるかもしれない。確かに菊を取ったがとても特殊なラップだったなどと半ば強引に彼の勝てない理由を探している訳ではない。むしろ私は軸にしようかと思っている。武豊が乗るからである。最近馬が回ってくる様になった彼が乗るからである。マックに乗っていた彼が淀3200持つと判断したのではないだろうか。その上菊を取ったという実績がある。展開が彼に向いた。というかもしれないが、あのスローペースでしっかり折り合っていたのである。
 では何故その様なことを言うのか。それは次の一言に尽きる。
春天にフロックなし」
強い馬が勝つ。淀3200の最後のコーナーの第3コーナーから第4コーナーにかけて坂を上って下るという苛酷なコースにおいては誤魔化しは一切効かない。馬の能力、ジョッキーの腕彼らに関わる人全ての総合力が試される。出遅れようと道中掛かろうと大外回されようとどんな不利を受けても無尽蔵のスタミナがあれば勝てる。逆に言うとスタミナがなければ勝てない。しかし無尽蔵のスタミナがある馬などいない。少なくとも私は知らない。あのマックも最期ライスの前に力尽きた。道中多少掛かっていた。この事実はただライスシャワーがマックイーンより強かったということだけでは語れない。確かにステイヤーとしてはライスシャワーはマックイーンより強かったと私は思っている。何故なら春天でライスが勝ったからである。インターメゾ、ノアーテンション、メジロティターンリアルシャダイなどといった長距離向きの血統が数多く存在していた。サンデーサイレンスの到来からもう20年になる。20年である。こんなことを言っている私はもう時代遅れなのだろうか。若者たちはこんな私を笑うのだろうか。それでも構わない。それも競馬なのだから。