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競馬 想い出の歴史

時代は移り変わる。けれども今も変わらぬことがある。それは武豊がトップを走り続けているということ。そして、彼は日々進歩しているということ。

スプリンター

 名馬とは、記録にも記憶にも強烈に刻まれる馬のことである。彼らは、人々の思い出の中で永遠に生き続け、後世に伝えられ、いつしか伝説になる。そして、彼らについての記録や記憶は事実であっても、その桁外れの能力を後世の人々は理解できず、彼らの尺度で考え、事実を誇張された人々の驚嘆を示す逸話として、伝説として伝わることもあるだろう。彼もいつしか、そんな一頭になるのだろう。

 日本競馬史にただ一頭。最初の、そして、最強のスプリンター。スプリンターという言葉を普及した馬であり、日本競馬史を変えた馬であり、それまで短距離馬という概念しかなかった日本競馬にスプリンターとマイラーという新たな概念を生み出した馬。

サクラバクシンオー

スプリンターとマイラーの区別がない。今ではそんなことも信じられないかもしれない。けれども、彼がスタミナが無くとも、スプリンターのエキスパートになるという道があること示した。それによって、スプリンターという言葉が普及した。スプリンターという言葉は彼のためにあったと言っても過言ではない。そして、彼の活躍によって、その後の日本競馬のスプリント重賞は充実していった。それまで評価されなかった短距離馬を圧倒的な実力によって、スプリンターという名で超一流馬として人々を認めさせた。彼は人々の評価を変え、価値観を覆した。ラストランでは、他馬に影をも踏ませぬ圧勝。まさに、記録にも、記憶にも残る引退レースであった。

 そして、今春、彼は、彼の血はこのSS全盛期の時代に彼はただ一頭で立ち向い、彼は頂点に立った。ビッグアーサーは他馬を圧倒した。

 今、日本競馬はスプリンター戦国時代を迎えている。シュウジブランボヌールを代表とする3歳世代。そして、ビッグアーサーベルカント、ネロ、ミッキーアイルといった実力のある5歳世代。そして、レッツゴードンキスノードラゴンといった実績のある古馬。今回参戦しないが、バクシンテイオーやエイシンブルズアイ。など。名前を挙げればキリがない。こんな混沌している時だからこそ、あの強烈なスプリンターサクラバクシンオーの血に夢を託したくなるのは私だけであろうか。

 彼がこの世を去ってから5年。彼の最期の産駒たちはビッグアーサーベルカントが今回参戦する。彼を母父に持つ馬としてはブランボヌールが参戦する。最強のスプリンターサクラバクシンオーは人々の思い出の中でいつまで生き続け、そして、今後も日本に競馬がある限り間違いなく語り継がれていくことであろう。彼の産駒や彼の血が流れている馬たちが、今後も日本スプリント界を牽引していくだろう。

 父サクラバクシンオーを彷彿とさせるあの首の高いフォーム。ビッグアーサーは、更なる飛躍を遂げた姿を明日、私たちに見せてくれるだろう。

 その時、それは、新たなサクラバクシンオーの伝説の物語の一部として語られてゆくのではなく、ビッグアーサーの物語の一幕として語られゆくのかもしれない。