競馬 想い出の歴史

時代は移り変わる。けれども今も変わらぬことがある。それは武豊がトップを走り続けているということ。そして、彼は日々進歩しているということ。

いざ、逆襲へ

 完璧な競馬をし、完敗した。絶対的な、持って生まれた能力の差を、まざまざと魅せつけられた。桜花賞は、そんなレースだった。

 牝馬クラシック戦線、緒戦。桜花賞。戦前、誰もがその馬との戦いだと思っていた。少なくとも、その馬の圧倒的な能力を疑う者は、いなかった。デビュー以来、全く底を見せず他馬との圧倒的な格の違いを魅せつけ、無敗で勝ち進んで来た。それも、クラシック戦線を見据え、王道路線を歩んできた。有力馬たちに挑み、そして、彼らを一蹴した。堂々と真っ向勝負をし、歴然とした差で打ち負かして来た。

 単勝1.8倍

それが何よりも彼女の、ラッキーライラックの強さを如実に物語っていた。このレースは彼女のTriple Crownの一冠目の、彼女のためのレースとなるはずだった。

 

 ゲートが開き、彼女は好スタートを切り、好位でしっかり折り合っていた。殆どの騎手も彼女とその鞍上の石橋脩の動向を注視していた。ただ一人を除いては。だが、この時点では、紛れもなく彼らを中心にレースは運んでいた。そして、彼らは3番手で直線を向かえ、追い出すと直ぐに先頭を捉えた。が、大外から一頭、物凄い勢いで飛んできた。あの時、唯一、自分の馬のことだけを考えていたクリストフ跨がるアーモンドアイだった。自分並ぶ間も無く交わし、最後は流していた。事実、レース後、クリストフはレース後、「ラッキーライラックのことはあまり見ていなかった。この馬を真っ直ぐ走らせることだけ考えていた。」と語っていた。人々はニューヒロインの誕生に沸き、そして、三冠馬になるのだと、多くの人が期待し始めた。それはくしくも、完璧な競馬をしたラッキーライラックを下したという事実が、何よりもの彼女の強さの証明であった。武豊もラッキーライラックについて、

 “一番枠を活かした、文句のない完璧な競馬” 

と評し、アーモンドアイについても

 “完璧な競馬をしたラッキーライラックでも勝てないんだから、大分強い”

と語っていた。

 

 着差は1 1/3馬身だった。だが、彼女の勝ち方は、1 1/3馬身という着差以上のものだった。彼女は4コーナーから大外回り、そのまま直線に入り直線半ばまで、ノースッテキで他馬を抜き去り、鞭を入れると一気に加速し、先頭を捉えて最後は流しての1 1/3馬身。1 1/3馬身。それは、絶対的な、揺るぎない、決して届かないと感じさせた差であった。

 確かにアーモンドアイは強い。だが、前回とは状況が違う。2歳王者として、1人気としての競馬をしなければならなかった。だが、今回は違う。王者ではなく、挑戦者だ。できる競馬も増える。まだ三冠の一冠が終わっただけ。立場も変わり、舞台も変わった。まだ、勝機はある。その望みは、薄いかもしれしれない。だが、ゼロではない。アーモンドアイも強いが、ラッキーライラックも強いことには変わりない。生まれた年が悪かったと片付けられる馬ではない。能力は、ある。確実に。1 1/3馬身それは本当に、絶対か。揺るぎないのか。決して、覆せないのか。否。2歳王者として、復権を。いざ、逆襲へ。

 

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