競馬 想い出の歴史

競馬といえば、武豊

エイシンヒテンを信じて

 あのエイシンヒテンが、阪神JFに出走する。漸く、ここまで来た。思えば、ここまでの道程は決して、平坦なものではなかった。エイシンヒカリ産駒の中央初出走馬となった彼女に戦前、迚も期待していた。が、結果は8着。新馬戦8着という結果に、続く未勝利戦では正直期待していなかったが、見事に裏切ってくれた。3走目は勝ち上がれると思っていたが、ここでも2着。2着続きで未勝利戦を勝ち上がれないという最悪のシナリオが頭を過ぎった。無理かもしれない。そんな時に、鞍上に迎えられたのが、武豊だった。武豊が次走、エイシンヒテンに跨る。その一報聞き、それまで抱えていた不安が一気に、消え去った。勝てる。必ず。そう、確信した。そしてレースが始まると、武豊跨るエイシンヒテンは初めて逃げの手に出ると、そのまま押し切って見事に初勝利を飾った。これがエイシンヒカリ産駒の中央初勝利となった。続く白菊賞でも、逃げて押し切り、2連勝でOP入りを果たした。漸く、辿り着いたGⅠ。初年度産駒で血統登録されているのは、53頭。その内、中央での現在の出走頭数は22頭。勝ち上がった馬が、3頭。その一頭が、エイシンヒテン。だから、エイシンヒカリという種牡馬の全てが、これからが、彼女、エイシンヒテンに懸かっていると言っても、過言ではない。彼女は、挑む。種牡馬エイシンヒカリの全てを懸けて。種牡馬エイシンヒカリの未来を懸けて。エイシンヒカリ産駒の代表として。だから、応援する。彼女を。見たい。奇跡を。エイシンヒカリ産駒のGⅠ制覇を。切り拓いて欲しい。種牡馬エイシンヒカリの未来を。見たい。たった53頭しかいない種牡馬からGⅠ馬が出るというドラマを。競馬は筋書きのないドラマだ。奇跡も起きる。それが、競馬だ。だが、一つだけ言えることがある。奇跡は、ドラマは、偶然だけでは、起きない。逃げ馬なのに外枠という試練が、競馬の神様から与えられた。けれども、信じる。奇跡が起きることを。いや、けれどもじゃない。だからこそ、信じる。試練は乗り越えれる者にしか神様は与えないのだと、信じて。