世界の光
その1頭の競馬に誰もが魅了される。その馬が走る度に見る者の想像を遙かに超えるperformanceで衝撃を与える。彼を人は名馬と呼ぶ。そして、その衝撃が大きいと、彼を人は歴史的名馬と呼ぶ。
歴史的名馬には皆必ず伝説がある。
かなり気性の荒い狂気と言ってもおかしくない馬が、名馬や名種牡馬には多い。ゴドルフィンアラビアンやセントサイモンやサンデーサイレンスなどがその一例である。
セントサイモンは調教でいつももより走らなかったために調子が悪いと思い、ジョッキーが拍車をかけると、突然暴走し、厩舎から出て行き、町の外れまで走った所で漸く、ジョッキーは彼を止められた。ゴドルフィンアラビアンが猫で気性が改善されたため、厩務員が猫をセントサイモンの馬房に入れると、その次の刹那。猫はサイモンに咥えられ、そして、天井に叩きつけられ、即死した。また、4000mのレースで始めは後方にいたが、残り1200で手綱をジョッキーが緩めると一気に加速し、ゴール後も1マイル走り続けた。
また、サンデーサイレンスはプリークネスステークスでのイージーゴアとの叩き合い で抜かされるのが嫌だったため、噛みついた。その後、叩き合いをハナ差で制した。 気性の荒さがレースでは闘争心へと変わる。そして、種牡馬としてはその気性の荒さが種牡馬の血統に与える力となり、爆発力を生み血統史を塗り替える。そして、時には、今まで無名だった血統を覚醒させる。これが、気性の荒い馬が消えない理由であり、競馬の魅力でもある。良血だけが残り続け、零細血統から名馬が生まれないのであれば競馬はこれ程までに繁栄しなかっただろう。サンデーサイレンスの様な血統の悪い馬が活躍する筈もない。サンデーサイレンスの母系は何代も遡ってやっと条件戦勝利馬がいる様な殆ど未勝利馬ばかりの血統に名種牡馬ヘイローつけた。そして、アメリカでは競走馬として活躍したが、種牡馬になれるか分からなかった。これにサンデーサイレンスの3/4の所有権を持ちオーナーでもあった吉田善哉が買い取り、今日の大繁栄に至る。
閑話休題。名馬、名種牡馬には必ず伝説がある。これがエイシンヒカリのアイルランドトロフィーではないだろうか。
芝2000で8馬身以上離して1000m58.2で飛ばし最後は外ラチ目一杯までヨレながらも先頭でゴール板を駆け抜けたアイルランドトロフィーは海外でも当時クレイジーな馬がいると話題になった。鞍上の横山典弘は右鞭をいれてるのにも関わらず、右にヨレる。鞭は馬を真っ直ぐ走らせるためにある。ヨレる方向と逆に打つことで進行方向を矯正する。右鞭を入れたにも関わらず右側にヨレたというのは、馬自らの意思で外ラチに突っ走ったということ。このクレイジーで知られた馬が今や世界の中の人々の注目する馬となった。それは、レーシングポスト132ポンド。ロンジン129ポンド。という数字が如実表している。レーシングポスト134がエルコンドルパサーで133がディープインパクト。オルフェーヴルとジャスタウェイが130。129ポンドは現役で最も高いレーティング。今日勝って、現役最強馬でなく歴史的名馬と言われる様な圧倒的な勝ち方で凱旋門に視界よしと言われる様な勝利を。
今日日本時間で24:20スタートです。グリーンチャンネルで24:00~25:00放送はされますが、ラジオNIKKEIでは放送されません。
日本の光でなく世界の光に
伝説の目撃者になろう
歴史的瞬間を見届けよう
さあ、伝説を。